2013年1月28日月曜日
神戸大学RCUSSオープンゼミナール1月26日、2月23日ご案内
皆様 from 神戸大学 都市安全研究センター 北後明彦
都市安全研究センターオープンゼミナールのご案内をいたします。
ご参加よろ しくお願い申し上げます。
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神戸大学都市安全研究センターRCUSSオープンゼミナールのご案内
RCUSSオープンゼミナールは、広く社会に都市安全研究センターの活動を広く公開するとともに、関連する各分野の皆様からの報告を通じ て、安全な社会としていくための研究や実践のあり方を議論しています。大学の教職員・学生のほか、安全・安心に関心を持つ市民の方々や、コンサルタントなどの民間企業の方々、自治体の消防・建築・地域関係の職員の皆様などが参加されています。参加費は無料です。興味のある方はぜひご参加下さい。
<第168回オープンゼミナール>
■日時:2013年1月26日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-333-0119
■内容:
① 災害と母子支援-助産師への聞き取りを中心に
松岡 悦子 奈良女子大学大学院人間文化研究科教授
東日本大震災後に、福島県、茨城県、宮城県で助産師をはじめとする医療職の人々と母子に聞き取りを行った。そこから見えてきたのは、災害時 において平時の問題が顕在化することであり、ジェンダー規範や現代家族の状況が増幅して現れることだった。このことは、災害をきっかけとして 日常を見直すことにつながるが、出産・育児期に関して言えば、ハイテクよりロウテク、集中化より脱集中化を見直すことにつながったと思われ る。たとえば産み場所についても病院への集中化よりも地域に産み場所があることや、出産方法についても自然に産むことの重要性が明らかになっ た。また専門家や施設に情報や能力が集中化するよりも、地域住民の中に情報や力があることが重要と思われた。
② 災害時と平時における妊産婦支援のあり方について
田間 泰子 大阪府立大学人間社会学研究科教授
本報告では、第一に東日本大震災をうけて策定された地域防災計画における妊産婦の位置づけを出来る限りまとめ、報告する。第二に、災害時の 支援が機能するためには平時の支援ネットワーク構築が肝要であるとの考えから、地域を選んで、平時の妊産婦支援の取組を紹介する。第三に、東 日本大震災における妊産婦の状況と支援のケーススタディを紹介し、災害による変化を報告する。
③ 歴史の継承と東日本大震災
長 志珠絵 神戸大学大学院国際文化学研究科教授
東日本大震災のキーワードとしての「津波」は「tunami」という普遍的な用語を持つ。あるいは三陸地域は近代以降に限ってみても、津波 多発地帯として知られている。ただし学術用語としての「tunami」の登場は昭和期とされるうえ、震災イメージとその対策は主に大都市の直 下型地震に向けられてきた。一方で日本の近現代史は災害史の時代であり、地域の記憶や人びとの生にその受難の歴史を刻んできたが、深刻な災害 からどのように個々の人びとが身を守るのか、被害地域をこえ、社会全体に共有されるしくみが整えられてきたわけではない。過去の災害経験がど のように語られ、記録として残されてきたのか、そしてそのことが次世代社会とどのような関係を結ぶのか、近代の災害史に関する歴史研究を通 じ、議論提供の場としたい。
今後の予定
<第169回オープンゼミナール>
■日時:2013年2月23日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-333-0119
■内容:
① 台湾の多文化と災害復興
陳來幸 兵庫県立大学経済学部教授
台湾は様々な民族集団が存在する複合的な移民社会である。1999年に中部地域で発生した921地震では、福建南部を出身地とする主流の台 湾漢民族のほか、異なる言語体系をもつ客家と山間部の先住民族にも被害が集中した。そして、近年急増している外国人花嫁たちの多くも被害に あった。2009年の集中豪雨が引き起こした88水害では南部高雄市に流れ込む河川の上流で土石流と深層崩壊が起こり、平埔族の小林村を中心 に大きな犠牲者が出た。そして、「危険」を理由に生活の場から引き離された先住民族は多くの問題に直面している。被害と災害復興は社会の矛盾 を浮き彫りにするといわれる。社会的弱者としてのこれらエスニックコミュニティの生活再建の方法に関し、どのような施策が考案され、いかなる 世論が形成されたのかについて考えたい。
② 台湾における住宅復興の課題―921震災と88水害の復興に関連して
垂水英司 兵庫県建築士会顧問(元神戸市住宅局長)
921震災の住宅復興では、現金支給や低利融資などの自力再建支援に重きがおかれ、早期に対策が打ち出されたが、自力再建能力のない人に 対する公的住宅の供給は遅れ、この点では実効性ある施策にならなかった。一方、88水害では、政府と大きな慈善組織などの協働による復興住宅 の建設が早期に実行に移された。しかし、これは被災地(特に原住民集落)と復興団地が離れるなど、さまざまな問題を惹起することになった。台 湾の事例を踏まえ、日本の問題とも関連させて住宅復興のあり方を考える。
③ 広域巨大災害における住宅復興の課題
-米国ハリケーンカトリーナ災害と東日本大震災-
近藤民代 神戸大学大学院工学研究科准教授
住宅復興には多様な被災者に対する、多様な選択を可能にする住宅再建支援の仕組みが必要である。阪神・淡路大震災では、主に高齢者、低所得 者、借家層を対象とした災害復興公営住宅が主な住宅再建支援の柱であったが、東日本大震災で失われたストックはそのような方法のみでは再生で きない。被災者の住む力を生かし、地域がまとまって住宅復興を進めていく方法が求められている。災害前の地域生活空間を継承しながら、より安 全な居住環境をどのように再生し
ていけばよいのか。米国ハリケーンカトリーナ災害と東日本大震災の被災地を事例として考える。
※3月以降は下記の日程でオープンゼミナールを開催する予定です。
●2013年3月16日(土)
●2013年4月20日(土)
●2013年5月18日(土)
●2013年6月15日(土)
●2013年7月20日(土)
問い合わせ先
神戸大学都市安全研究センター
〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
TEL: 078-803-6437(事務室 山崎)
FAX: 078-803-6394
TEL:078-803-6440(熊崎、北後)
http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/
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