2013年2月13日水曜日

神戸大学RCUSSオープンゼミ2月23日・3月16日・4月20日他ご案内


皆様  from 神戸大学 都市安全研究センター 北後明彦

都市安全研究センターオープンゼミナールのご案内をいたします。
ご参加よろ しくお願い申し上げます。

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神戸大学都市安全研究センターRCUSSオープンゼミナールのご案内

 RCUSSオープンゼミナールは、広く社会に都市安全研究センターの活動を広く公開するとともに、関連する各分野の皆様からの報告を通じ て、安全な社会としていくための研究や実践のあり方を議論しています。大学の教職員・学生のほか、安全・安心に関心を持つ市民の方々や、コンサルタントなどの民間企業の方々、自治体の消防・建築・地域関係の職員の皆様などが参加されています。
参加費は無料です。興味のある方はぜひご参加下さい。


<第169回オープンゼミナール>
■日時:2013年2月23日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-333-0119
■内容:

① 台湾の多文化と災害復興
  陳來幸 兵庫県立大学経済学部教授

 台湾は様々な民族集団が存在する複合的な移民社会である。1999年に中部地域で発生した921地震では、福建南部を出身地とする主流の台 湾漢民族のほか、異なる言語体系をもつ客家と山間部の先住民族にも被害が集中した。そして、近年急増している外国人花嫁たちの多くも被害に あった。2009年の集中豪雨が引き起こした88水害では南部高雄市に流れ込む河川の上流で土石流と深層崩壊が起こり、平埔族の小林村を中心 に大きな犠牲者が出た。そして、
「危険」を理由に生活の場から引き離された先住民族は多くの問題に直面している。被害と災害復興は社会の矛盾 を浮き彫りにするといわれる。社会的弱者としてのこれらエスニックコミュニティの生活再建の方法に関し、どのような施策が考案され、いかなる 世論が形成されたのかについて考えたい。


② 台湾における住宅復興の課題―921震災と88水害の復興に関連して
  垂水英司 兵庫県建築士会顧問(元神戸市住宅局長)

  921震災の住宅復興では、現金支給や低利融資などの自力再建支援に重きがおかれ、早期に対策が打ち出されたが、自力再建能力のない人に 対する公的住宅の供給は遅れ、この点では実効性ある施策にならなかった。一方、88水害では、政府と大きな慈善組織などの協働による復興住宅 の建設が早期に実行に移された。しかし、これは被災地(特に原住民集落)と復興団地が離れるなど、さまざまな問題を惹起することになった。台 湾の事例を踏まえ、日本の問題と
も関連させて住宅復興のあり方を考える。


③ 広域巨大災害における住宅復興の課題
-米国ハリケーンカトリーナ災害と東日本大震災-
  近藤民代 神戸大学大学院工学研究科准教授

 住宅復興には多様な被災者に対する、多様な選択を可能にする住宅再建支援の仕組みが必要である。阪神・淡路大震災では、主に高齢者、低所得 者、借家層を対象とした災害復興公営住宅が主な住宅再建支援の柱であったが、東日本大震災で失われたストックはそのような方法のみでは再生で きない。被災者の住む力を生かし、地域がまとまって住宅復興を進めていく方法が求められている。災害前の地域生活空間を継承しながら、より安 全な居住環境をどのように再生していけばよいのか。米国ハリケーンカトリーナ災害と東日本大震災の被災地を事例として考える。




今後の予定

<第170回オープンゼミナール>
■日時:2013年3月16日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-333-0119
■内容:

① 震災時の一斉避難・集団行動に起因する問題を考える
      -ビル避難から帰宅困難問題まで-
   関澤 愛 東京理科大学大学院・国際火災科学研究科・教授

 東日本大震災では、震源域から遠く離れた東京などの都市においても、多くのビルで全館避難が行われ、多数の避難者がビルの敷地内、あるいはその周辺路上などの街区内に滞留する事態が生じた。さらには、公共交通機関のストップによって、これらの滞留者が大量の帰宅困難者ともなった。このような大規模地震時のビル全館避難、ターミナル駅周辺での滞留、さらには帰宅困難の問題は、それぞれ個別の現象として起きているのではなく、相互に密接に関連した連続的な事象である。これらの問題に通底する課題に焦点を当てて、過去の経験から一歩踏み出して従来の想定を超える現象、事象への対応の必要性について考察してみたい。


② 激震後の全館避難シナリオと混雑度の評価に関する研究
  -東北地方太平洋沖地震後の仙台市内の百貨店における事例を通じて-
  野竹 宏彰  清水建設(株)技術研究所主任研究員
  岩崎 啓太  神戸大学大学院工学研究科建築学専攻博士前期課程

 不特定多数の在館者が想定される商業施設において、大地震時には、屋内の物品散乱や停電等により、全館避難を余儀なくされる可能性が高い。さらに、避難誘導が適切になされない場合、避難時の混雑や混乱による二次災害の危険性も高まることが懸念される。本研究では、激震時の商業施設における避難誘導方策の留意点について検討・考察する。
 本発表では、東北地方太平洋沖地震時の仙台市内の百貨店における避難誘導の状況を、ヒアリング調査等で得られた情報をもとに、避難シミュレーション上で再現する。そして、在館者がさらに多い場合を想定し、現状の避難誘導上の課題と、より有効な誘導方策について考察する。


③ 広域避難と帰宅困難
  廣井 悠  名古屋大学減災連携研究センター准教授

 大量の通勤者が朝夕移動を繰り返すなど、ヒト・モノ・カネ・情報の全てが集まる大都市。この集積は日本の経済・産業をリードする大きなメリットであるものの、ひとたび災害が発生すれば集まることによる様々なリスクが同時に顕在化し、その被害は各所へ波及する。2011年3月11日に首都圏を
中心として発生した帰宅困難者問題は、まさにこの典型例といえよう。そして3.11の夜に帰宅困難者問題として東日本大震災で顕在化した各課題は、災害情報の問題をはじめとして、大都市における滞留者の安全確保に関する現状の課題を浮き彫りにするものであったといえる。本講演では
これらの問題について、東日本大震災から約2年が経過するいま、再考するものである。



<第171回オープンゼミナール>
■日時:2013年4月20日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-333-0119
■内容:

① 既往台風による可能最大クラスの影響評価
   奥 勇一郎 大阪市立環境科学研究所 調査研究課 都市環境担当

 台風によってもたらされる被害規模はその台風の進路に大きく依存する。ある台風による可能最大クラスの影響評価を行う場合、その台風が様々な進路をたどった場合における強風雨を見積もり、その最大値をもってなされるべきである。本研究では、渦位逆変換法による既往台風(台風1979年16号)の位置操作を行い、操作後の気象場を初期値として領域気象モデルを用いたアンサンブル計算を実施、風速や降水量の観測値と比較することでその妥当性を評価した。一方、気候変化の影響により、将来、台風の強大化が指摘されている。同じ台風を対象として温暖化時の海面水温を与えた実験も行ったのでその結果についても紹介する。


② 水文学者と気象学者の共同研究
   -可能最大洪水の推定とアンサンブル洪水予測-
  小林健一郎 神戸大学都市安全研究センター准教授

 近年特に水文・水工学者と気象学者の共同研究が進んでいる。気候変動問題やこれまで予測もしなかったような豪雨による水災害について考える場合に、両者の知識が最大限に必要だからである。本研究ではこのような共同研究の2事例について示す。
 一つ目は、奥らによる「可能最大クラスの台風」を淀川流域の流出・氾濫モデルに入力することにより淀川本川枚方地点の水位・流量と流域の浸水深を基準とした「可能最大クラスの洪水」について考える。同時に最悪クラスの洪水が発生した場合の避難行動についても検討する。
 二つ目は、折口らによる「アンサンブル降雨予測」を入力とする「アンサンブル洪水予測」について兵庫県佐用川流域を対象に実施した研究例を紹介する。



※5月以降は下記の日程でオープンゼミナールを開催する予定です。
●2013年5月18日(土)
●2013年6月15日(土)
●2013年7月20日(土)


添付ファイルは、関連する催しのご案内です。

2月20日「うたごごろ」西宮上映
 オープンゼミナールでも発表いただいた西宮市の畑さんが企画・実施を推進さ
れている催しです。PDF内記載への申し込みが必要です。

2月24日「災害時の要援護者に対する支援」セミナー
 都市安全研究センター協力研究部門兼任の高田哲教授の企画です。問い合わせ
先は、PDF内に記載されています。

オープンゼミナールについての問い合わせ先
神戸大学都市安全研究センター
〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
TEL: 078-803-6437(事務室 山崎)
FAX: 078-803-6394
TEL:078-803-6440(熊崎、北後)
http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/