2013年3月14日木曜日

神戸大学RCUSSオープンゼミ3月16日・4月20日・5月18日ご案内

皆様  from 神戸大学 都市安全研究センター 北後明彦

都市安全研究センターオープンゼミナールのご案内をいたします。
ご参加よろ しくお願い申し上げます。

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神戸大学都市安全研究センターRCUSSオープンゼミナールのご案内
         
 RCUSSオープンゼミナールは、広く社会に都市安全研究センターの活動を広く
公開するとともに、関連する各分野の皆様からの報告を通じ て、安全な社会と
していくための研究や実践のあり方を議論しています。大学の教職員・学生の
ほか、安全・安心に関心を持つ市民の方々や、コンサルタントなどの民間企業
の方々、自治体の消防・建築・地域関係の職員の皆様などが参加されています。
参加費は無料です。興味のある方はぜひご参加下さい。


<第170回オープンゼミナール>
■日時:2013年3月16日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
■内容:

① 震災時の一斉避難・集団行動に起因する問題を考える
      -ビル避難から帰宅困難問題まで-
   関澤 愛 東京理科大学大学院・国際火災科学研究科・教授

 東日本大震災では、震源域から遠く離れた東京などの都市においても、多く
のビルで全館避難が行われ、多数の避難者がビルの敷地内、あるいはその
周辺路上などの街区内に滞留する事態が生じた。さらには、公共交通機関の
ストップによって、これらの滞留者が大量の帰宅困難者ともなった。このような
大規模地震時のビル全館避難、ターミナル駅周辺での滞留、さらには帰宅困
難の問題は、それぞれ個別の現象として起きているのではなく、相互に密接
に関連した連続的な事象である。これらの問題に通底する課題に焦点を当て
て、過去の経験から一歩踏み出して従来の想定を超える現象、事象への対応
の必要性について考察してみたい。


② 激震後の全館避難シナリオと混雑度の評価に関する研究
  -東北地方太平洋沖地震後の仙台市内の百貨店における事例を通じて-
  野竹 宏彰  清水建設(株)技術研究所主任研究員
  岩崎 啓太  神戸大学大学院工学研究科建築学専攻博士前期課程

 不特定多数の在館者が想定される商業施設において、大地震時には、
屋内の物品散乱や停電等により、全館避難を余儀なくされる可能性が高い。
さらに、避難誘導が適切になされない場合、避難時の混雑や混乱による二次
災害の危険性も高まることが懸念される。本研究では、激震時の商業施設
における避難誘導方策の留意点について検討・考察する。
 本発表では、東北地方太平洋沖地震時の仙台市内の百貨店における
避難誘導の状況を、ヒアリング調査等で得られた情報をもとに、避難シミュ
レーション上で再現する。そして、在館者がさらに多い場合を想定し、現状の
避難誘導上の課題と、より有効な誘導方策について考察する。


③ 広域避難と帰宅困難
  廣井 悠  名古屋大学減災連携研究センター准教授

 大量の通勤者が朝夕移動を繰り返すなど、ヒト・モノ・カネ・情報の全てが
集まる大都市。この集積は日本の経済・産業をリードする大きなメリットで
あるものの、ひとたび災害が発生すれば集まることによる様々なリスクが
同時に顕在化し、その被害は各所へ波及する。2011年3月11日に首都圏を
中心として発生した帰宅困難者問題は、まさにこの典型例といえよう。そして
3.11の夜に帰宅困難者問題として東日本大震災で顕在化した各課題は、
災害情報の問題をはじめとして、大都市における滞留者の安全確保に
関する現状の課題を浮き彫りにするものであったといえる。本講演では
これらの問題について、東日本大震災から約2年が経過するいま、再考
するものである。


今後の予定

<第171回オープンゼミナール>
■日時:2013年4月20日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740
■内容:

① 既往台風による可能最大クラスの影響評価
   奥 勇一郎 大阪市立環境科学研究所 調査研究課 都市環境担当

 台風によってもたらされる被害規模はその台風の進路に大きく依存する。
ある台風による可能最大クラスの影響評価を行う場合、その台風が様々な
進路をたどった場合における強風雨を見積もり、その最大値をもってなされ
るべきである。本研究では、渦位逆変換法による既往台風(台風1979年16号)
の位置操作を行い、操作後の気象場を初期値として領域気象モデルを用い
たアンサンブル計算を実施、風速や降水量の観測値と比較することでその
妥当性を評価した。一方、気候変化の影響により、将来、台風の強大化が
指摘されている。同じ台風を対象として温暖化時の海面水温を与えた実験
も行ったのでその結果についても紹介する。


② 水文学者と気象学者の共同研究
   -可能最大洪水の推定とアンサンブル洪水予測-
  小林健一郎 神戸大学都市安全研究センター准教授
 
 近年特に水文・水工学者と気象学者の共同研究が進んでいる。気候変動
問題やこれまで予測もしなかったような豪雨による水災害について考える場
合に、両者の知識が最大限に必要だからである。本研究ではこのような共
同研究の2事例について示す。
 一つ目は、奥らによる「可能最大クラスの台風」を淀川流域の流出・氾濫モ
デルに入力することにより淀川本川枚方地点の水位・流量と流域の浸水深を
基準とした「可能最大クラスの洪水」について考える。同時に最悪クラスの洪
水が発生した場合の避難行動についても検討する。
 二つ目は、折口らによる「アンサンブル降雨予測」を入力とする「アンサンブ
ル洪水予測」について兵庫県佐用川流域を対象に実施した研究例を紹介する。



<第172回オープンゼミナール>
■日時:2013年5月18日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740

① 発展途上国におけるジェンダー視点に配慮した
   コミュニティ防災力向上支援
     斉藤容子 人と防災未来センター研究員

 災害が多発し、かつ急速に発展を遂げるアジアの途上国において防災支援を行
うことは重要である。外部支援によってコミュニティ防災力を向上 には、住民
の人々の参加が大前提でなければならない。男性も女性もが地域の災害リスクを
軽減するための活動に関わるためにはどのような外部支 援の在り方が必要であ
るかをネパールやバングラデシュの事例を通して紹介します。

② 化学プラントにおける自衛消防活動のモデルについての考察
   ーTPMとハイパー自衛消防隊が事故の未然防止を防ぐー
     山本信一 消防防災ソリューションズ 

 人類に豊かな社会をもたらすはずの危険物と言われる物質が、その取扱いを誤
ると、牙をむきだしてくる。その結果、火災により尊い人命が失わ れ、危険物
の漏洩・流失により、かけがえのない宇宙に一つしかないといわれるこの地球の
山紫水明の緑豊かな自然環境が汚染・破壊されている。 これだけ科学技術発達
してきているのに、どうして毎年毎年化学工場・化学プラントの火災・爆発、危
険物の漏洩・流失が無くならないのだろう か。
 最近の危険物施設事故の特徴は、①異状現象初動時における措置の誤りであ
り、また、設備の不備により火災を拡大させ被害を増大させているこ と、②発災
事業所の事故後における事業再開の困難があること、である。本報告では、昨年
発災した化学工場プラントの爆発火災、危険物製造所で の爆発火災の事故時の
対応、事故後の経過を示し、不測の事態に直面した時に、適切に被害を極限まで
小さく抑えることができるソフトパワーとし てのハイパー自衛消防隊を養成し
て対応することがさらに必要であることを、現在、養成中の自衛消防隊のモデル
の実践例をもって紹介する。


※6月以降は下記の日程でオープンゼミナールを開催する予定です。
2013年 6月15日(土)14時~17時
2013年 7月20日(土)14時~17時
2013年 9月28日(土)14時~17時
2013年10月19日(土)14時~17時
2013年11月16日(土)14時~17時
2013年12月14日(土)14時~17時
2014年 1月25日(土)14時~17時
2014年 2月22日(土)14時~17時
2014年 3月15日(土)14時~17時


オープンゼミナールについての問い合わせ先
神戸大学都市安全研究センター
〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
TEL: 078-803-6437(事務室 山崎)
FAX: 078-803-6394
TEL:078-803-6440(熊崎、北後)
http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/