2013年9月24日火曜日

神戸大学RCUSSオープンゼミナール(9月28日ご案内)

皆様  from 神戸大学 都市安全研究センター 北後明彦

都市安全研究センターオープンゼミナールのご案内をいたします。
ご参加よろ しくお願い申し上げます。

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神戸大学都市安全研究センターRCUSSオープンゼミナールのご案内

 RCUSSオープンゼミナールは、広く社会に都市安全研究センターの活動を広く公開するとともに、関連する各分野の皆様からの報告を通じ て、安全な社会としていくための研究や実践のあり方を議論しています。大学の教職員・学生のほか、安全・安心に関心を持つ市民の方々や、コンサルタントなどの民間企業の方々、自治体の消防・建築・地域関係の職員の皆様などが参加されています。参加費は無料です。興味のある方はぜひご参加下さい。


<第175回オープンゼミナール>
■日時:2013年9月28日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740

<プログラム> (司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦)

① 津波浸水域で発生する火災の地域的特徴と危険度評価手法について
    今津雄吾 清水建設株式会社技術研究所

 東日本大震災では、多くの津波浸水域で火災が発生した。従来、津波避難ビル等の整備や指定は、地震・津波に耐えて安全な空間を確保すること を主眼に行われてきたが、震災の事例で明らかとなったように、津波直後は浸水や漂流ガレキにより十分な消火活動が行えないことや、2次的な避 難も困難となることから、火災に対する安全性確保も重要な課題となっている。
 津波による火災は、燃料タンク等の危険物施設が存在しない一般の住宅地でも多数発生しており、決して特殊な現象ではないが、大まかにはその 地域で発生したガレキの量や漂流・滞留挙動に関係しており、地域によって火災発生の有無や延焼規模が異なる現状が見られた。
 本講演では、東日本大震災での火災事例をもとに、地形、津波高、住宅密度などの違いによる火災発生状況の特徴について分析した結果と、津波漂流物予測シミュレーションを活用した津波火災の危険度を評価する試みについて紹介する。

② 地震動の増幅特性とその評価法について
    長尾 毅 神戸大学都市安全研究センター教授
    (リスク・マネジメント研究部門 社会基盤マネジメント研究分野)

 地震は地下深い場所で発生し、堆積層を伝播して地表に達する。地震の規模が同じであっても、地震動の伝播過程が異なると構造物への影響が異 なる。過去に生じた地震において、近傍の地点においても被害の程度に差がある場合があることは良く知られている。これは一般に地盤条件の差と して理解されることが多いが、地盤条件として浅部地盤条件と深部地盤条件の2種類を考慮する必要がある。浅部地盤条件は構造物の建設時に地盤 調査が行われることが多いが、深部地盤条件は詳細な地盤調査が行われることはほとんどない。
 本講演では、2011年東北地方太平洋沖地震における被害状況などの実例を示すとともに、ボーリングなどの土質試験を行うことなく地震動の 増幅特性を評価する方法について概説する。


今後の予定  (以下、前回メールから11月分が追加されています。)

<第176回オープンゼミナール>
■日時:2013年10月19日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740

<プログラム> (司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦)

① 産官民連携によるパートナーシップ型地域防災(仮題)
    紅谷昇平 神戸大学大学院国際協力研究科特命准教授
           (社会科学系教育研究府兼務)

 これまでの災害では、企業、市民、自治体などが個別に災害対応にあたってきました。また行政でも、市町村が対応できない場合には県に、県が 対応できない場合には国に要請を行い、資源の確保・調整をしてもらう仕組みでした。
 しかし東日本大震災では、自治体間や官民間での様々なレベルでの水平的な支援・連携がみられました。平時から、自治体や民間企業、市民、 NPO等との連携を進めることによって、地域社会全体の災害対応能力を高めることが可能になります。このような「パートナーシップ型地域防 災」の取組事例について紹介し、その可能性について考えていきます。

② 大災害時の市民、事業所の効果的な防災活動について
    松山雅洋 神戸市消防局予防部長

 南海トラフ地震や首都直下地震等の大災害では、市民、企業の自主防災活動が被害の軽減に大きな力となります。阪神・淡路大震災では、三ツ星 ベルトの自衛消防隊や神戸商船大学白鳳寮の寮生が消火や救助に目覚しい働きをされています。また、JR福知山線列車脱線事故等でも事故周辺企 業が救出、救護に活躍されました。一方、米国でも1994年に発生したノースリッジ地震では、市民のボランティアチームであるCERTが活躍 しています。
 これらの事例から市民、企業の大災害時の効果的な防災活動のあり方について考察します。


<第177回オープンゼミナール>
■日時:2013年11月16日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
     神戸市中央区江戸町97-1 Tel.078-322-5740

<プログラム> (司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦)

① 119番等災害通報時における指令(救急)管制員の業務の分析と
   その心理学的アプローチ
     山本信一 消防防災ソリューションズ

 119番通報される市民は、一般に火災等の災害発生という緊迫した状況下では、パニック的混乱に陥りがちであり、その中で消防の指令管制員 は、災害発 生場所、災害内容等を正確に受信して、瞬時に、災害内容に応じた消防隊の編成 を決定して、火災等災害を、最小に鎮圧できる最適の消 防隊を出場させてい る。指令管制員は、119番等災害通報の受信時に、発生場所、災害内容等を正 確に把握し、より多くの情報を通報者から聴取 しなかればならず、その上1秒も 無駄にできない迅速性が要求される。
 そこで、まず最初に、火災等の災害発生時における指令管制員の業務の分析を 行い、指令管制員がどう災害に対応していっているのかを述べ、次 に、指令管 制員と通報者の心理的な関わりについて考察を加える。まとめとして、「119番 等災害通報時における指令(救急)管制員の業務の分 析とその心理学的アプロー チ」を試みることにより、災害からの被害を軽減するのは、ハード的要素だけで はなく、運用していく人間そのものの対 応能力の向上やソフトの学問である心 理学、社会学の援用が重要であることを示す予定である。

② ファーストレスポンダー体制の制度設計とその効果
 久保田勝明 消防庁消防研究センター・神戸大学大学院工学研究科客員准教授

 救急業務における新たな取り組みとして、一般住民による救急活動を紹介する。一般住民による救急活動というと、バイスタンダー (bystander、救急現場に居合わせることになる同伴者、発見者等)への応急手当講習の推進等を思い浮かべるところであるが、今回紹介 するのは、119番通報を受けた消防本部からの情報提供により、近隣住民が傷病者のもとへ出場すると言う新たな体制である。この体制を、昨年 の11月より石川県でスタートした。このスタートまでの道のりと、制度設計等について紹介する。


※上記以降は下記の日程でオープンゼミナールを開催する予定です。
●2013年12月14日(土)14時~17時
●2014年 1月25日(土)14時~17時
●2014年 2月22日(土)14時~17時
●2014年 3月15日(土)14時~17時
(4月以降未定、8月はありません。)
http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/

オープンゼミナールについての問い合わせ先
神戸大学都市安全研究センター
〒657-8501神戸市灘区六甲台町1-1
TEL: 078-803-6437(事務室 山崎)
FAX: 078-803-6394
TEL:078-803-6440(熊崎、北後)
http://www.kobe-u.rcuss-usm.jp/contact