2012年9月10日月曜日

神戸大学RCUSSオープンゼミナール2012年9月15日(土)のご案内

都市安全研究センターオープンゼミナールのご案内をいたします。
ご参加よろ しくお願い申し上げます。

【神戸大学 RCUSSオープンゼミナールHP】http://open.kobe-u.rcuss-usm.jp/

<第163回>
■日時:2012年9月15日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-333-0119(消防)
<プログラム>
■内容:
①要援護者の避難支援体制の実態と課題
 -佐用町豪雨災害及び東日本大震災時の民生委員の活動調査より-
  竹葉勝重 神戸大学大学院工学研究科博士課程後期課程
          エス・ティー・アート 代表

 災害時における要援護者の避難支援について、実態と課題を整理し、今後の要 援護者支援計画の方策を探る一連の研究の内、民生委員の活動を取り上 げた調 査・研究を紹介する。
 要援護者の避難支援対応について、民生委員を取上げたのは、地域での要援護 者の避難支援活動は、自主防災組織が中心となって行われる例が多くあ るが、 自主防災組織では、要援護者が何処に、どの様にいるかわからないという対象者 の情報不足がある。その一方で、日頃から高齢者の見守り活動な どをして、情 報を持っている民生委員がいる。
 こういう地域の関係の中で、災害時、情報を持っている民生委員がパワー不足 という状況の中で何をしたのかということを、民生委員の側から見てい けば、 地域の連携の姿や地域支援のあり方というものを考えていくうえで、重要な知見 が得られるであろうというのが研究のねらいである。
 そこで、平成21年8月に兵庫県佐用町でおきた台風9号水害における要援護者対 応に関して、民生委員を対象にアンケート調査・インタビュー調査 を行い、水 害時における民生委員の要援護者への対応を調査・分析した。水害時、避難勧告 の遅れにより地域での混乱が見られ、地域の状況に応じて民 生委員各自で判断 し行動しなければならない状況であったことから、民生委員と地域住民が一体と なって要援護者を避難支援するため、①地域住民と一 体となった支援体制づく り、②的確な情報伝達システムと適切な行動マニュアルづくり、③民生委員の心の ケア等を進めていく必要があることが明らか となった。
 また、東日本大震災における津波等で大きな被害を受けた石巻市において、災 害時要援護者の避難支援の役割を担っていた民生委員を対象にアンケー ト調 査・グループインタビュー調査を行い、被災した要援護者に対する支援の実態に ついて把握した。災害時に民生委員が、要援護者の避難支援をどの ように行 なったかを調査・分析することによって、今後の避難支援計画づくりの課題を整 理し、①柔軟に対応する避難支援計画づくり、②要援護者の身 体的特徴に配慮し た支援計画づくり、③支援者の安全の確保等を進めていく必要があることが明ら かとなった。

②自治体における災害対応の「失敗の本質」
 -過去の災害事例からの課題と教訓-
 紅谷昇平 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター 研究主幹

 東日本大震災では、想定を上回る津波等によって職員の被災や庁舎・設備の 復旧、通信手段・災害対応要員の確保などについて、多くの自治体が災 害対応 に課題を抱えることになりました。また被害の広域化により、政府や自治体間の 応援、民間からの物資供給等にも支障が発生しました。
 これらは「想定外」が原因の一つとは言え、阪神・淡路大震災後のこれまでの 災害と同じ失敗が繰り返されています。その理由の一つとしては、現在 の自治 体の地域防災計画や災害対応体制に本質的な課題が存在し、多くの自治体でその ことへの対処がなされていないことが挙げられます。
 そこで今回のセミナーでは、過去の災害における自治体の災害対応を振り返り ながら、自治体の災害対応に潜む本質的な問題点について考え、今後の 災害に 向けて、「業務継続体制」、「資源管理」、「災害対策本部体制」、「首長の リーダーシップ」などのあり方についてお話しいたします。



今後の予定のご案内

<第164回>
■日時:2012年10月13日(土)14:00~17:00
■場所:神戸市役所4号館(危機管理センター)1階会議室
    神戸市中央区江戸町97-1 Tel. 078-333-0119(消防)
<プログラム>
■司会:神戸大学都市安全研究センター教授 北後明彦
■内容:
① 気仙沼市における震災対応とその検証について
 秋元康男 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 研究員

 平成23年3月11に発生した東日本大震災は、東北の沿岸地域を中心に未曾有の 被害をもたらしました。
 東北の各自治体では、発災直後は、情報通信の遮断やライフラインの寸断等に より、困難な災害対応を余儀なくされましたが、全国からの多くの 支援も得な がら、応急・復旧に取り組みました。
 今回のセミナーでは、被災の大きかった市町村の中から、宮城県気仙沼市を取 り上げ、一連の災害対応の実態から、課題や教訓を整理・報告する とともに、 今後、気仙沼市あるいは同様の大規模災害が生じると想定されている地域におい て、災害対応力強化に向けた取り組みを検討する際の参 考となる視点などをお 話します。

② 感染症を捉え直す。21世紀のパラダイムシフト 
 岩田健太郎 神戸大学都市安全研究センター 教授

 世界三大感染症というものがあります。みなさんは、なにかごぞんじですか?
 これは、結核、マラリア、エイズです。それぞれ毎年世界で100万人以上の 命を奪ってきた恐ろしい感染症です。WHO、つまり世界保健機関 や、ゲイツ財団 などはこれら3つの感染症対策に必死に取り組んできました。そのかいあって、 例えばマラリアの死者数は近年激減しており、対策 の効果がでてきています。
 ところが、この三大感染症以外にも毎年100万人以上の規模で人の命を奪っ ている感染症が存在することが分かって来ました。それはいったい なんでしょう。
 それは、呼吸器感染症と下痢原性感染症です。簡単に言えば、肺炎と胃腸炎です。
 肺炎と胃腸炎なんてよくある病気、もう簡単に治せるものだと思っていません か?残念ながら、途上国を中心に、そして小さな子供を中心に、た くさんの命 が肺炎と胃腸炎で奪われています。
 さて、古典的な三大感染症、結核、マラリア、エイズと、肺炎・胃腸炎との違 いは何でしょうか。
 それは、微生物と感染症の1対1関係です。前者は結核菌、マラリア原虫、 HIVが原因です。病気と微生物が1対1関係にあり、結核菌=結核 とほとんど同 義に扱っても問題にないような錯覚すら覚えます。
 ところが、肺炎や胃腸炎の原因微生物は千差万別。抗生物質が効くものから効 かないものまでたくさんあります。いや、それどころか、そもそも 感染症が原 因でない肺炎や胃腸炎すらあるのです。もちろん、こういうときは抗生物質は効 きません。
 微生物と相応する感染症の1対1関係がだんだん崩れています。かつてのよう に、微生物学者が微生物を研究することが、直接感染症対策、感染 症治療に結 びつきにくい時代です。では、我々は21世紀の感染症にどう対峙したらよいの でしょうか。それが今回のお話の主題になります。


その後の日程
※11月以降は下記の日程でオープンゼミナールを開催する予定です。
●11月17日(土)
●12月15日(土)
●2013年1月26日(土)
●2013年2月23日(土)
●2013年3月16日(土))

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